ぼくの日記 それは、とある夫婦のある夜の出来事。 「。これは何だ……?」 「んー? ああ、カナタの日記じゃない。文字を覚えるんだって言って、時々書いてるみたいよ。 中見たことはないけど」 「そうか。(ぱら)」 「あっ! ちょっと、見ちゃダメじゃない」 「見てはいけないとは書いていない。少しだけだ」 「もう……」
「カ…カナタ……。なんてコト言ったのよー!」 「カガリは怒ったら怖いからな……。俺も前に歳を聞いたら怒られた」 「こないだ機嫌悪いと思ってたらこれか……。もう一度ちゃんと言い聞かせとこう」 「それがいい。次は……(ぱらり)」
「こんなことがあったのか? 、危ない時はすぐ俺を呼んでくれ」 「だって作業場の中だったし……。それに弱かったのよ、そいつ。そういやあれから一度も見ないわね」 「最近、よくのことを褒められると思ってた……」
「……(じー)」 「(見られてたの!?) あ、はは……やぁね、カナタ。ちょっと話してただけなのに」 「……本当か?」 「ホントホント。しっかしあの時うつったのね。馬鹿猫ってやめさせないとなぁ……」 「……、目、逸らした……」 「逸らしてないって。……あ、ほら、昨日の日記。これで最後よ」
「……なんで同じレベルで争ってんのよ……」 「う……だって、との子供を一番に可愛がるのは俺だ。カナタには負けたくない」 「張り合うところが違うでしょ……。まぁいいけど」 そう言って、ぱたんとは日記帳を閉じた。眠るカナタの枕元に、そっとそれを置く。 はつがいに向き直ると、悪戯な視線で問いかけた。 「アンタも書いてみたら? 案外面白いし、字の勉強になるわよ」 「俺が書いたら、毎日のことだけで埋まってしまうが、それでいいのか?」 「…………」 さらりと言われた言葉に、赤面。いつものパターンだ。 はゆっくりと首を振ると、つがいの隣に寄り添った。 「書くよりも……それは私に、直接言って」 END |