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バスルームから続く脱衣所のドアが、いきなり開いた。
その奥から出てきた人間の姿に俺は動きを止める。

――明らかに、外国人。

――しかも金髪の、濡れた髪の、色の白い……若い女。

というか――なぜに半裸!?

≪希一≫
「なっ……」

≪謎の女≫
「……誰じゃ、そなたは」 


2
 

≪琴音≫
「あーあ。可愛いけどずいぶん普通になっちゃった。
 これなら文句ないでしょ?」

≪希一≫
「俺から見れば十分派手だが……まあ、これなら……」

キイチが指さした区画からコトネが選んできたのは、フリルのブラウスと落ち着いたピンクのスカートだった。
くるりと回るとふわりとスカートが舞う。

≪ヴィオレッタ≫
「ど、どうじゃ?」

≪希一≫
「まあ……悪くないんじゃねーの」


3
 

≪ヴィオレッタ≫
「希一。今晩のおかずは何じゃ?」

≪希一≫
「麻婆豆腐。顔を寄せんな、油がはねる」

≪ヴィオレッタ≫
「ほう。良い匂いじゃのう!
 この豆腐というのはなかなか良い食材だの。油っこくなくておいしい」

≪希一≫
「そうかよ。相変わらず安上がりな姫様だな」


4
 

≪ヴィオレッタ≫
「……!」

――涙は出てこなかった。
ただ、腹の底から溢れ出した衝動をぶつけるように、目の前に立つ女を引き寄せた。

≪ヴィオレッタ≫
「希一――」

≪希一≫
「…………」

細い腰。けれど生きた人間の、確かな質量と温もりに荒い衝動は少し薄れる。
金の髪が頬に触れ、その湿った柔らかさに溜息が出た。



<ゲーム画面>